セルフ・コントロール? 『お返しの目安は3倍。』 ナンセンス!世間一般はそうかもしれませんけど、俺の想いは3倍なんかじゃ足りません!100倍だって1000倍だって…! 「おぉ〜、特キョウくんはスケールが違うねぇ」 当たり前です、センさん。 「張り切りすぎるな。相手をちゃんと見極めろ。泣きを見るぞ」 ホージーさん、それは過去の経験からですか? 「平気よね、テツなら」 …ジャスミンさん、そのにじり寄る手はなんです?!手袋をしてください。 「いいなぁ、バン…」 ウメコさんにもちゃんとシュークリームあげたじゃないですか! 「頼む。仕事をしてくれ…」 ボスの嘆く声に一旦お開きになったホワイトデー作戦会議(という名の雑談)。 最初は何を渡したらいいか、と相談しただけだったのだが好奇心旺盛なウメコさんが騒ぎ立て、揚げ句の果てに「私たちの分は〜?チョコあげたよね〜」とねだられて。ウメコさん指定のケーキ屋でシュークリームを買わせられた。ついでにバスソープも。 「たまぁにならテツも使っていいからね」 どうせ使うなら俺じゃなくて… 「ただいま戻りましたぁ!」 今日も元気一杯笑顔全開の先輩に使ってもらいたい。そしてその身体を… 「なにニヤニヤしてんだ、テツ?」 ひょいと覗き込んだ先輩は多少訝しげな表情をしていたのだが、それよりも何よりも俺の視線はある一点にくぎづけだった。 「先輩…」 「ん?なんだ…、っん?!」 ウメコさんの歓喜の叫びはムシして、先輩の唇をぺろり、ひと舐め。 暖かくなってきたとはいえ、まだ乾燥する季節。切れて血の滲む唇を舐めて潤す。先輩の唇はいつもぷるぷる食べごろでいてほしいから。 口を忙しなく開閉し顔を赤くする先輩が可愛い。 「血、出てますよ? ちゃんとケアしないとダメじゃないですか♪」 「う、う〜〜…、相棒ーッ、テツがいじめるーッ!」 ニッコリ笑って今舐めたばかりの下唇を指で拭ってあげると先輩はホージーさんに泣き付いた。ていうか先輩、なんでホージーさんなんですか?しかもいじめたなんて人聞きの悪い。 「相棒って言うな。…おい、テツ。このばかをさっさと連れて行け」 呆れたホージーさんに首根っこを掴まれ、俺に突き返された先輩はまだ潤んだ瞳をしている。 …本気でお持ち帰りしてあげましょうか。 「ほら先輩、ホージーさんに迷惑かけちゃいけませんよ。行きましょう」 「い、行くってドコに!」 「パトロールです」 「戻ってきたばっかだってば!」 「いいじゃないですか、先輩。堅いことは言いっこなしですよ!」 逃げられないように腕を組んで、ズルズルと引きずりデカルームを後にする。 「さて先輩、何が食べたいです?それともどこか行きたい場所はありますか?」 「パトロールだろうが!」 「パトロール兼デートです。ホワイトデーですから」 「は?? おまッ、もう充分返してもらったよ!」 茹でダコ状態の先輩が言うのは…きっとこの一ヶ月のアレのことだろう。俺への愛情がチロル2個だ、と言い張る先輩へたっぷり教え込んだ日々。…可愛かったなぁ…。 「ナンセンス!まだまだですよ、先輩♪」 「やめてくれ〜〜、助けて、おまわりさぁん!!」 警ら中の警官に助けを求めたってムダです。 「観念してください」 グンッと加速するマシンドーベルマンがどこへ向かったのかは内緒、ということで。 素直じゃない先輩を可愛く鳴かせるのが俺の楽しみなんだけど… 「ぜってーオレのが損してねぇ?」 ベッドの中でぶつぶつ言う先輩の唇を塞ぐ。 「じゃまずはランチ一ヶ月、デザート付き。もちろん先輩の好きな所で」 「…なんかお手軽ってカンジ?」 下唇にキスを返しながら睨みつける先輩のうなじに顔を埋め、きつく吸い上げた。薄く付いた痕にもう一度口づけるとジタバタ暴れる先輩を見下ろした。 「まずは、って言ったでしょう?あとは先輩が満足するまで、いつまでもなんでも言うこと聞きますよ?」 「…ずーっと、っつったら?」 「願ったりです」 敵わねぇな、と笑う先輩の手を引っ張ってバスルームに向かう。 「長いパトロールねぇ」 スワンさんからの通信が入る10分前の出来事だった。 Fin. ホワイトデー企画第1弾・デカ白赤です。今回はテツ視点で。バンちゃんは素直じゃありませんがちゃんとテツのことが好きなようです。…つか勤務中にどこ行ってんのさーっ!!! 2005.03.14 朝比奈朋絵
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