チェンジング・セイム 3



幸いアリエナイザーの出現はなく、宇宙警察は平和なまま一日を終えた。
「バン、出掛けるよ!」
「時は金なり、善は急げ」
終業の合図とともにツインカムエンジェルに両腕を捕らえられ、半ば引きずるようにジャスミンの部屋に連れて行かれる。
そんな3人をある者はニヤニヤと、ある者はきょとんと、ある者は見ないフリを、そしてある者は合掌して見送っていた。

「な、ジャスミン、なんでファスナー…ってウメコ?!ベルトくらい自分で〜ッ」
「ほらほら、早く着替えて行くよ!」
手早くバンの制服を剥ぎ、代わりにジャスミンの私服を身につけさせていく。振り払いたくても相手はジャスミン&ウメコとはいえども女性。女の子には優しいバンにそんな手荒なことはできなかった。
「よし、こんなんでどうかな、ジャスミン♪」
「バンには甘すぎるかもしれないけど…上出来上出来」
「オレやだよぉ、スカートヒラヒラしすぎだし! つかなんでこんな恰好しなきゃいけないわけ?」
シフォン素材のスカートが動くたびにふわふわ揺れるのが心許ないらしい。しかしそんなこと構ってられないわ、と二人は再びバンをがっしりホールドしてデカベースを出ていった。

「遅いわよ、あなたたち」
「「すいませーん」」
「げっ、す、スワンさん!」
連れられた先にはさらにスワンが待ち構えており、バンはいやぁな予感に顔を引き攣らせる。
このメンバーがそろったら自分は一体どうされてしまうのか。不安に駆られても仕方ないほどスワンがウキウキしていた。

「これ試着お願いしまーす」
「い、いいってばウメコ!」
セレクトショップを何軒もハシゴして、あれやこれや試着させられてぐったりのバン。抵抗するも女性陣のパワーは凄まじかった。
「やっぱり似合うー!」
「スリット深すぎだってば!」
「あらぁ、スタイルいいんだから見せなきゃ損よ」
「見せたくありません!」
「よいではないか、よいではないか」
「ジャスミン〜何か恐いって!」
…結局1週間は困らない程度のスカート(膝上20cmのミニ有)やキャミソール、ジャケット、ミュールetc.を買い込んだ。これで開放されるとホッとしたのもつかの間、まだハイテンションな女性陣は次の目的地へと突進していく。
「げ…」
普通なら絶対入らないソコは。
「下着も買わなくちゃね♪」
可愛らしいランジェリーショップにバンは貧血を起こす。
男性であれば一生足を踏み込むこともないであろうが、いかんせん現在女性の身。しかも着せ替え人形と化したバンに拒否権はなかった。
「これこれ! どうかなぁ、真っ赤♪」
「ドキドキでごじゃりまするがな」
「勝負下着? ドゥギーはあぁ見えて真っ白が好みよぉ。だからコレなんかどうかしら」
「プリティー&セクシー?」
「横はちゃんと紐になってるからね♪ ここ引っ張るだけだから」
「ありゃ? バン? バンちゃーん? …ダメ、気ぃ失ってます」
広い試着室に4人で入り込み、真っ裸に剥かれたバンに次々と可愛い下着やらセクシーな下着を当てていた。
バンが羞恥のあまり途中から意識を投げ出してしまったのはムリないのかもしれない。
「あらぁ。じゃ勝手に決めちゃいましょー!」

ちなみにこの日のお会計は全てドギー持ちだった。



― 続く






お買い物編でした。なぜスワンさんがボスの好みを知っているのでしょうか? それにしても女の人は買い物が好きです。すさまじい情熱を傾けます。負けます。


2005.09.20 朝比奈朋絵




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