チェンジング・セイム 4
女性陣が出掛けた後のデカルームには未だ困惑顔の男共が残された。 「ボス、彼女は本当にバン…なんですか?」 いつものリズムで返される悪口の数々はたしかにバンなのだが、だからといってすぐに認めるにはホージーの常識の壁は厚い。昨日までは間違いなく男だったのだから無理もない。 「信じられないだろうが…スワンの検査でもバンであることは証明された」 バンを連れて外出する前に提出されたカルテや報告書には、彼女が100%バンである事実が羅列されていた。それに発言や身体的特徴(ホクロの位置等)も疑う余地なし。 「しかしなぜ先輩は女性になってしまったんでしょう」 「バンのことだからヘンな食べ物を口にしたんじゃあないかな」 「あぁ…」 「ありえますね」 「バンだからな…」 さらっとひどいことを言うセンもセンだが、誰一人それを否定してやらないのもどうだろう。 「…とりあえずは様子見だな」 「ロジャー! …それにしても先輩、綺麗だったなぁ」 「うんうん、意外だったよねぇ。バンもなかなか…ふふふ…いいねぇ」 「センちゃん?!」 顎に手を当ててほくそ笑むセンにぎょっとホージーが振り返る。その隣でテツが身を乗り出した。 「センさんもそう思います?」 「テツ…お前まで…。アレのどこがいいんだ!男だぞ、男!」 「ナンセンス!今の先輩は女性です。しかも美人なんですよ。ホージーさんだって鼻血出してたじゃないですか」 「ちが…っ、あれは…ッ!」 「まぁまぁ、そんなムキにならなくても。とりあえず抜け駆けナシってことでいいよね?」 何がいいのかわからないが、協定を結んだホージーたちが「お先に失礼します」とデカルームを出て行く。 「……ふぅ」 書類をパサリと放り出すと溜め息を零し、椅子に深く身体を沈めた。さきほどの彼らの会話にヤキモキしていたらしい。 「…どうにかしなければな」 周りには秘密にしている(女性陣は気づいている)が、一応恋人の地位にいるドギーは眉間を揉んで静かに目を閉じた。 ― 続く 短くてごめんなさい! ボーイズ興奮編でした。←なんだそれ …こんな話を書いておきながら、未だにあまり女性化したバンちゃんをうまく想像できません。…誰かビジュアル化してくれないかなぁ、と夢を見ています。 2005.11.04 朝比奈朋絵 |
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