禁じられた遊び


真っ暗なサロンの中2階。
リクライニングチェアに寝転がる人影が一つ。
高丘映士が黙って目を閉じ、気配を消している。


ウィィン…


ほのかに光が差し込むのと同時に、淡い香りを纏った西掘さくらが入室してきた。
解散直後、明石から何かを耳打ちされていたのを彼は見ていた。その彼女がなぜこんな所にいるのか、と動向を窺う。
非常灯と廊下から漏れ入る光だけで何かを探しているようだった。
「探しもんか?」
いきなり声をかけられたさくらは肩を揺らして振り向く。
「た、高丘さん?! どうしてここに…っ」
「ちょっと、な」
ひらり、と中2階から飛び降りてさくらの前に立つ。ふといつもとどこかが違うことに気がついた。
「ピアス、ねぇじゃねぇか」
無意識に耳朶を摘む映士にさくらが慌てる。
その反応が楽しいのか、今度は意図的にその柔らかな部分を揉みくすぐった。
「ん…ッ」
薄暗い部屋ではさくらの表情はわかりづらいが、触れている耳朶は熱を孕んでいて。
体温の上昇とともにさくらの香水も一層甘い匂いを放つ。

…明石のための香り、か…

胸中に広がるもやもやが止まらない。
汗ばむ映士の指先にさくらの鼓動も速まった。

「さくら…」

薄い唇から零れた熱い囁きに。
近づく苦しげな顔に。
…なぜか拒めなくて。

「…すみません」

離れゆく唇を見つめながら呟き、さくらはサロンを飛び出す。
後に残された映士が「ちくしょう」と黄色いテーブルに拳をぶつけていた。



 終 





サイト用冒険SSがまさか赤桃←銀になろうとは…。本当は赤桃が好きなんですけどね。
一応この時点で赤と桃は恋人同士になってます。


2006.10.18  朝比奈朋絵 




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