桜色のひだまり −桜短編集−


先日行われたオンリーイベントの企画のひとつ、トレカの文章を実は書きまして…。(桜のトレカ)
そのボツSS、4作品をば。


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「忍びでよかったって思うよな」
「どうした、急に」
「だってさ、こんな特等席、他にないぜ?」
脚をプラプラさせながら頭上だけでなく足元にも広がる薄紅色を見遣り、ふふふと笑う。
「ビール買ってこればよかったぁ」
「ここで飲むのか?」
「桜と言ったら花見だろ?」
「降りてからにしろ。危なっかしい」
キュッと身体に回された腕に力が篭るのを感じ、ようやく背後の一甲を振り返った。
すぐさま桜に視線を戻し、うっとりと目を細める鷹介のこめかみに軽いキスひとつ。
「お前を桜にとられそうだな」
「ばぁか。オレはお前のだろ」


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春が一番好きだ。そう言って微笑んだ鷹介は桜の幹に凭れて立っている一甲に背中を預ける。
そして舞い落ちるピンク色の花びらを一片掴まえると目の前にかざした。
透ける陽光の優しさに目を細める。
「…こういうのを守りたかったのかな、オレ」
当たり前のように植物が力強く芽吹く。そして無理やりではなく散りゆく花。それは自然の命の摂理。
ゆっくりと流れる時間を好きな人と過ごせる幸せな時間もだけどな、と小さく呟き、一甲の頬にキスをした。


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「もう桜の季節かぁ」
「どうした、急に」
「ん?お前と初めて会ったのがこれくらいだったな〜って」
「…本当はもう少し前から知っていたがな」
「え、マジ? ずりぃぞ、勝手に人のこと見てるなんて」
「そういう問題か? しかし嫌っていたではないか」
「それはお前たちの方がだろ。人のことボコボコにしやがって」
「俺ではない。一鍬のしたことだ」
「むー…。で、最初どう思った?オレのこと」
「さぁな」
「誤魔化すなよー!」
…言えるわけなかろう? 最初から気になっていた、とは。
「そういうお前はどうだったんだ?」
「…ナイショ」
一目ぼれだって言ったら、笑うだろ?

薄紅色に紛れてどちらからともなく小さなキス。
答えは言葉よりも雄弁な唇が語る。


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「桜色って好きだな」
手のひらに受けた花びらをほんわりと見つめる。
温かな、しかしどこか毅然とした色にうっとりと魅入っている鷹介のうなじに唇を寄せ。
ちくん、
桜よりも鮮やかな花弁を散らした。
「何すんだよ」
「もっとキレイな色を知ってる」
首筋に唇を這わせたまま喋り、ちろりと舐めあげる。
後ろから回す手をジャケットとTシャツの中に潜り込ませ、胸の突起をちょんと弾くと。
「…ぅん」
小さく跳ねたカラダに愛しさが募る。


淡く色づくまろやかな肌が。

桜の花びらよりキレイだと言ったら、お前はどんな顔をするんだろうな。




 終 





オンリー無事閉幕記念。(記念なのか?)
載せてもいいですよね? 採用作品じゃないし。トレカイラストが本当に幸せな2人だったのでそれはもう触発されまくりで。久々に甘さ100%のモノが書けました。

2004.04.20  朝比奈朋絵 

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