パーソナルスペース


俺の隣にはいつも七海と吼太がいた。
それは当たり前で自然なこと。だって俺たちハリケンジャーだから。
でもいつからか。
そう、気づけば俺の隣に一甲がいるのが自然となった。


攻撃されたことも、本気で殺されかかったこともある。
けどオレはそれでも一甲が気になって、煩わしがられるのも承知で傍でチョロチョロしてたんだ。
一甲はオレを見ると「未熟者」だとか「忍者失格だ」って厭味を言う。
オレはそう言われる度に怒りと悔しさと悲しさを味わっていた。一人前と認めてもらいたくて、修行嫌いのこのオレが特訓に精を出してたんだ。吼太に「雪が降るかもな」って笑われながら。夏に雪が降るわけねぇだろ、チクショー。



七海の手助けによって自覚した一甲への恋情。
それから、オレはまともに一甲の顔が見れなくなっちまった。
だってきっと真っ赤だぜ、俺の顔。感情を隠すのが苦手だから、一甲に変に思われちゃうかもしれないけど仕方ない。
でもやっぱり視線は一甲を追ってしまう。
「ちょっとちょっと鷹介。なに乙女なことしてんのよ」
こっそり彼の様子を伺ってるのを見られていたらしい。七海が隣にススッと寄ってきて小声でたしなめられた。
「なんだよ、誰が『乙女』だって?」
「鷹介に決まってるでしょ。まったく見てらんないわよ。目が合いそうになると反らすし、そのくせ一甲の背中、すっごい切ない目で見てる。これが乙女じゃなくてなんなの?」
え、オレって傍から見るとそんななの? うわーっ、すっげ恥ずかしい!
…もうちょっと自分、コントロールできるようにならなきゃ。


ある時、ジャカンジャが出現しても一甲がこなかった。
最近体調悪そうだったから、その所為なのかもしれない。
「一鍬、一甲の具合、そんなに悪いのか?」
気になって気になって、戦闘が終わってから迅雷の谷を訪れ一鍬を掴まえて聞いてみたけど
「貴様には関係ない」
だって。そんな言い方ないよな、仲間なのに。まったく七海はこんな男のどこがいいんだか。

そのとき初めて気がついた。隣が一甲じゃないことの違和感を。
「いくぜっ!」と声をかけると「おぅっ!」と七海と吼太が応えて、一甲と一鍬が無言で頷く。一甲がオレに視線を向けながら力強く頷いてくれるのが嬉しかった。
誰が欠けてもダメだけど、ここまでの淋しさや違和感は付随しないだろう。

隣にあるはずの気配、温かさに。
一甲に。
こんなにも依存してたのか。

自分が弱くなっていくようで怖かった。

これ以上一甲を好きになるのが怖かった。

この想いに蓋をしなければ、と漫然と考える。

今は、己の感情よりも地球を守ることが最優先なのだから。

お気に入りの梢の上、三日月と夜空を見上げながら一粒だけ涙を流した。


 終 





ごめんなさい、中途半端なところで終わっちゃいました。なんとなく続き物?
それにしても前半は軽〜いノリだったのに後半にいくにしたがって暗い暗い(^-^;


2003. 9.23  朝比奈朋絵 




ブラウザのバックでお戻りください 











SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送